「やりたい事を見つけたい」という現代の病について
SNSをウォッチしていると、やりたい事探しに燃える若者が結構いる。
まあかくいう私も若者なのだが。
オンラインサロンに入会して、インフルエンサーになろうとするワナビー。
SNSの投稿に力を入れて、インフルエンサーを夢見るワナビー。
行動や挑戦が大切だと宣うワナビー。
これらの人間はいつの時代も存在する。
恐らく私もこうした種の人間にカテゴライズされるだろう。
SNSを見ていて、ちょっと最近違和感を覚えた事があった。
その違和感とは、「やりたい事」に没頭する風潮がブームになっていることについてだ。
まぁ言ってしまえば、今更のことなのだが、モヤモヤが言語化できたのでまとめてみようと思ったのだ。
本記事では、「やりたい事」に憑りつかれた現代の病とも言うべき症状について、つらつらと書いていく。
やりたい事を見つけたい病の原因
「好きな事で生きていきたい」「やりがいを見つけたい」という欲求は、果たしてどこから湧いてくるのだろうか。
これはあくまで私の仮説だが、やりたい事(と、こちら側が思っている)で財を成した人が多数出てきたため、自分も早くそれを見つけてお金を稼ぎたいと思う人が続出した結果なのではないだろうか?
「やりたい事を見つけなきゃ」という焦燥感さえある。
ベンチャー起業家は、「夢」に燃えてお金を稼いでいる(ように見える。)
Youtuberは、「やりたい企画」でお金を稼いでいる(ように見える。)
サラリーマンの仕事なんてつまらない。自分の好きな事だったら、楽しんで大金を稼ぐことができると考える人が表れたのではないだろうか。
自分もやりたい事を見つけて熱中したい。そうすれば知名度も上がって、チヤホヤされるしお金も稼げると。だからとにかく自分も夢を見つけなきゃと思い込んでしまうのだ。
好きな事でお金を稼ぎたいという欲求に潜む1つの問題点
しかし、ここには1つの問題点が存在する。
それは、相手ファーストでなく、自分ファーストになってしまいがちだということだ。
つまり、単なる自己満足に終わってしまう危険性があるのだ。
ビジネスの本質とは、「相手を喜ばせる」ことにある。
相手になんらかの利益を与えた結果、その対価として報酬を頂くのだ。
つまり、自分のやりたいこと、実現したい事、生み出したい価値は独りよがりであってはいけないのだ。
自分の好きなことを、仕事に選ぶのは正しいと言える。
好きだからこそ、夢中で努力し続けることができるし、自ずと結果にも繋がるだろう。
従って、好きなことであると同時に、それを通じて相手にどのような価値を提供するか?という観点を最優先にしなくてはならないのだ。
言ってしまえば、私もあなたも「自分のやりたいこと」そのものだけでは価値が低いのだ。
市場に受け入れられるか、消費者に選んでもらえるかが全てであり、情熱や夢そのものには商品的価値はない。
「やりたいこと信仰」とは何か?
やりたいことを見つける為には、自己分析をしましょうとよく言われる。
特に、就活ノウハウ本では必ずと言っていいほど、過去を遡ってやりたいことを探しましょうと言われる。
過去に夢中だったことが必ずあるはずだと。それがあなたのやりたい事ですと。
果たしてこれも正しいのか。甚だ疑問である。
あなたにとって、本当にやりたい事に未だ出会っていない可能性もある。
今まで生きてきた人生の中で、胸を張って、自分はこれに没頭したという経験もないかもしれない。
自分が今まで多くの時間を費やしたことを、「これが実はやりたいことだったんだ!」と無理やりにでも、こじつけてしまう可能性だってある。
で、そもそもの話。多くの人間は10代20代で、人生における野望や目標を持っている人は少ないのではないだろうか。いわんや仕事に関する事であれば、尚の事である。
崇高な大義は、普通に生きているだけではまず見つからないだろう。
勉強や部活、恋愛や遊び、日々の仕事に忙殺されていて、そんなものが湧き上がってくる余地など皆無に等しい。
「好きな事で生きていく」の私なりの解釈
Youtuberという仕事が誕生した頃、「好きな事で生きていく」という標語も急速に広がった。ネットを中心に新たな仕事が生まれた時代における代名詞である。
私はこの言葉の真意は、「ネットではあらゆる事がお金につながる可能性を秘めている」というメッセージだったのではないだろうかと解釈している。
やりたい事を、頭でウンウンと唸って考えるのではなく、固定観念に捕らわれることなく、何でも挑戦してみるのが大切だと伝えたかったのではないだろうか。
頭で考えて「やりたいこと」を見つけない
話に聞くと、「やりたいこと」が見つからなくて悩む若者が多いという。
当たり前だろう。経験や知識に乏しい我々が、そんなものをすぐに見つけられるわけがない。一つの方法としては、様々な物事に挑戦する事が必要だと思う。
自分に合ったもの、楽しいと思えるものは、とにかく自分でやってみないと分からない。
次に必要なのが、「自分にできること」を増やすことだ。
先ほども述べたように、ビジネスとは「何らかの価値を相手に与えること」だ。
自分も消費者としての立場であれば、当然の事だが、何かの価値を求めてお金を払う。
換言すれば、価値がなければ誰もお金を払わない。
だから、相手を喜ばせるためにできること、欲しがっているものを与えられる人間を目指すことが本質的に重要であろう。
尚且つ、(自戒を込めて書くが)他人に奉仕する精神を持ち、行動する事が大切だと思う。
自分の行動によって、相手に感謝されることで、もっと役に立ちたいと思うようになる。するともっと努力しようという気持ちが自然に芽生え、自ずとそれがやりたいことへと変わっていくのではないだろうか。
いずれにせよ、自分の頭の中だけで考えたり、ネットやSNSであれこれ探しても「やりたいこと」は見つからないだろう。夢や野望に燃えるインフルエンサーの真似をしたって意味がない。
消費者に価値を与えることを最優先に考え、そのために行動する。そのためにスキルを磨く。これが私が考える「やりたいことの見つけ方」の最適解である。
〇最後に
偉そうな事を書きましたが、以前にこんな記事も書いてます。
やりたい事を探して、人生に楽しみを取り戻せ! - 思考の解剖
いやどっちやねーんと(笑)まぁ言ってしまえば、どっちの考え方も大切である。
物事は何事も「中庸」が肝心である。どちらかに傾きすぎてもいけない。
と、自己矛盾を正当化する言い訳でした(笑)
よければ上記の記事も読んでみてください。それなりに頑張って書きました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。