NewsPicks Bookという名の青春
幻冬舎の有名編集者、箕輪厚介氏が編集長として手掛けた書籍レーベル「NewsPicks Book」の爆発的ヒットは、彼を一躍有名にした。シリーズの累計販売数は230万部を突破している。
2017年の4月に創刊され、2020年堀江貴文氏の「東京改造計画」を最後に同Bookレーベルは終了した。終了の原因は、箕輪氏のセクハラが明らかになった事である。
箕輪氏は、Twitterにて「今回の件に対する自分なりのけじめとして、(中略)ニューズピックスブック編集長を退任致します。」との声明を出している。
かくしてNewsPicks Bookは突然終了した。TVなどのメディアにも度々出演し、新たな時代の生き方を提示するビジネスパーソンとして大きく注目を集めていたにも関わらず、急速にその勢いを現段階では失ってしまっている。
私はNewsPicks Bookが大好きだった。今回の記事では、「NewsPicks Bookという青春」をテーマにつらつらと書いていこうと思う。
ビジネス本にエンタメ性を詰め込んだという功績
以前書いた記事にも同様の趣旨の事を書いたが、NewsPicks Bookが新しかったのはビジネス本をエンタメとして昇華した点であると思う。
NewsPicks Bookという現象は何だったのか? - 簡単ブログ
ビジネス本と言えば、従来はベテランのビジネスマンが何やら難しそうなことを書いている、そういうイメージが強かったように思う。しかし、NewsPicks Bookはそのような従来のイメージを打ち壊した。
現在のトレンドの傾向として、起業家ブームなるものがあると思う。且つて、ヒルズ族なるものが流行したが、現在においても起業家の人気は若者の間で高い。SNSにより、あらゆる生き方が可視化され、仕事の幅が広がった。それに伴って、インターネットには多数のワナビー、即ち意識高い系が誕生した。
NewsPicks Bookはそのような層のハートのど真ん中をぶち抜き、いわゆるNewsPicks界隈なるものが生まれた。
漫画キャラクターのような著者たち
このブックレーベルの大きな特徴は他にもある。著者の個性を前面に押し出しているという点だ。田端信太郎(NTT・リクルート・ライブドア・LINE・ZOZOを渡り歩く炎上系エリートサラリーマン)前田裕二(SHOWROOM社長、幼ない頃に両親を亡くし、弾き語りでお金を稼いだ。)落合陽一(新時代の科学者、若者に人気)的な感じで枚挙に暇がない。そして頻繁に彼らと編集者である箕輪氏が講演会を行い、読者や新たなファン層を構築していった。疑似的なコミュニティが箕輪氏を媒介として形成され、そうした動きも一つの漫画に存在するキャラクターの面々、的な印象を生んでいると思う。
青写真を見せる事のうまさ
また、青写真を見せる事に非常に長けていたと思う。陰鬱な思い、とにかく何者かになりたいと息巻いている承認欲求が高い若者に、「行動すれば未来は開ける」と思わせる事に長けていた。NewsPicks Bookでは一貫してそのようなメッセージが込められていたように思う。自己啓発書の読後感特有の全能感や気分の高揚などの要素がふんだんに盛り込まれていた。
最後に
私は箕輪氏が手掛ける本は面白いし好きなので、今後の作品には期待している。
次回作の出版が待ち遠しい。
私が以前に参加したNP界隈イベントの画像をここに残す。
追記