与沢翼氏の、アパレル×アフィリエイト戦略を「秒速で1億円稼ぐ条件」を基に解説する。
前回書いた記事では、与沢翼氏のビジネス哲学やその手法について、彼の書籍を交えながら分析した。
(与沢翼氏の「秒速で1億円稼ぐ条件」を今更ながらレビューしてみる。)
本記事では、与沢氏のアフィリエイト手法について、彼の書籍を基に解説していく。
アパレル業界に初めてアフィリエイトを導入する
与沢氏は、1社目に経営していたアパレル事業会社に、いちはやくアフィリエイトを導入した。
彼は、破格の報酬額を設けた。
赤字覚悟のアクションも起こした。ふつうアフィリエイターに支払う成功報酬が5~10%というところを破格の30%に引き上げたのだ。仲介者のアフィリエイト・サービス・プロパイダ(ASP)のマージンも合わせると、売り上げ額の35%も支払うことになる大冒険だった。
与沢氏の信条である、常識から逸脱した行動である。
アフィリエイターに支払う報酬額が多ければ、その分手元に残る収益は減る。
尚且つ、前例がない試みであるため、リスクも大きい。
リスクの高い行動には、当然のごとく恐怖が伴うが、一気に他者を出し抜くことができる。
もちろんそれは勝算があってのことであり、単なるムチャでは何の意味もないのだが。
与沢氏にも、いくつかの狙いがあった。
まずはじめに、アフィリエイターへの徹底的な周知である。
その狙いは、アフィリエイターの多くに「CRAZE」が偉大な広告主であることを周知徹底させることにあった。
同上、98p
アフィリエイターとは、アフィリエイト広告を自分のサイトやブログで紹介し、それを経由して、商品が売れた時に支払われる報酬を広告主から得ている人のことを指す。成果報酬の額が多いほど、もちろんアフィリエイターにとっては嬉しいし。やる気も高まる。こぞって多くのアフィリエイターが、CRAZE(与沢氏が経営していたアパレル会社のECサイト)を取り上げ、瞬く間にインターネットを席巻するようになった。
与沢氏は、広告費用を、よりレバレッジが強い手段に投下している。
自社のみで宣伝するのではなく、多くの他者の労力を使い、急速に認知度を広めた。
そして見事に、CRAZEは瞬く間に有名となった。
与沢氏の戦略はこれだけではない。
(前略)初回で35%支払った報酬も2回目からのリピーター購入ではいっさい支払わなくて済むことが分かっていた。そこで獲得した新規顧客に対して商品をたくさん売ることによって、2件目からは全額利益にになるので問題はなかった。
同上、100p
初回こそ赤字になるものの、リピーター客を掴むことで、後から黒字回収するという算段であった。
初回は無料もしくは破格の値段で、消費者を集め、その後商品やサービスの購入を継続してもらうことを狙ったキャンペーンはあらゆる企業に見られる。
ネット社会の場合は、最初に出る赤字をいかにして有効に使うか?がより強く問われるのではないだろうか。換言すれば、赤字をなるべく低く抑えたうえで、一人でも多くの人間に周知させ、コアなファンを作るかが重要なのだろう。
SEOの多角化
与沢氏は、インターネット上で、自身が経営するアパレル会社のECサイト「CRAZE」の更なる知名度向上を目指し、いくつかのアクションを起こした。
トップページ以外にも評価の対象となる大きなページを作成し、そのなかにブランドごとに個々のページを設けた。LPO(Landing Page Optimization=ランディングページ最適化)の手法で、これが顧客に「大きなショッピングモールに数多くのテナントが入っているシーン」を連想させることにつながった。
同上、101p
ユーザーが最初に辿り着くのが、ランディングページである。ランディングページをより見やすくすることで、様々なページに誘導することができる。
また与沢氏は、各ブランドで個々のページを設けた。
それぞれをSEO最適化したうえで、SNSとリンクさせ、バイラルを狙った。
思うに、ネット販売を通じたビジネスは多角的な手法が求められる。
我々ネットユーザーは、色々なサイトを閲覧し、SNSに時間を費やしている。
少しでも自社サイトに触れる機会を増やすには、運営する媒体を増やすことが必須なのだろう。
尚且つ、それぞれをリンクさせ、商品を販売するにあたって核となるページに誘導しなくてはならない。そして閲覧ユーザーを誘導するには、何かしらのインセンティブが必要である。興味を引くような文言や、キャッチーな見出し、視覚的なインパクトなどである。
与沢氏の場合は、集客の1つの戦略として、動画を用いた。
(前略)グラビア系やギャル系雑誌の人気モデルの水着姿を動画で撮り、雑誌に「この動画を見たい人は、このQRコードを読み取って空メールを送ってね☆」と広告を載せた。
同上、102p
やはりなんだかんだで、美人はそれだけで消費者(男)の関心を惹きつけるうえで一番強い。しかも、メールアドレスを集めているので、メルマガ配信に組み込むことだってできる。潜在的消費者からメールアドレスを集める為の、広告料でもある。
メルマガ配信をすることで、一度にたくさんの人に、商品を宣伝することができる。
〇最後に
与沢氏は、アパレル業界に馴染みのなかったアフィリエイトをいちはやく導入した。
その結果、他者を出し抜いて、大きな知名度と収益を上げた。
2つの業界でそれぞれスタンダードな手法を組み合わせる事で、新たなものが生まれる。
業界内の常識にとらわれず、他の業界を見渡してみると、思わぬ化学反応が起こるかもしれない。
最後まで読んでいただきありがとうございました。